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海洋土木の重機とは?種類と役割を紹介

私たちの暮らしを支える港や空港、海上橋、さらには再生可能エネルギー施設など、海の上や海底で進められる大規模なインフラ工事が「海洋土木」です。

陸上土木とは異なる特殊な環境下で行われるため、そこでは私たちの想像を超えるような巨大な重機たちが、重要な役割を担っていることをご存知でしょうか。

この記事では、海洋土木工事の全体像から、そこで不可欠な役割を果たす「重機」の種類とそれぞれの「役割」について、詳しくご紹介します。

台船やクレーン、バックホウ(油圧ショベル)、そして専門的な浚渫船といった多様な重機が、どのように連携して壮大なプロジェクトを実現しているのかを理解することで、海洋土木の奥深さと、その技術の重要性を深く知ることができるでしょう。

海洋土木とは?〜海の上で進む大規模インフラ工事〜

海洋土木のイメージ

海洋土木とは、海や河川、湖沼といった水域を舞台に、社会基盤の整備や開発を行う土木工事を指します。

人々の生活を支える港湾施設や、安全を守るための護岸・防波堤、さらには資源開発のための海底構造物など、多岐にわたる建造物を手がける大規模なインフラ工事です。これらの海洋土木工事を専門的に請け負う建設業者は、一般的に「マリコン(Marine Contractor)」と呼ばれており、高度な技術力と専門知識を駆使して、複雑なプロジェクトを遂行しています。

マリコン(海洋土木)について詳しくはこちらをご覧ください

海洋土木とは?魅力や仕事内容、資格の種類を解説

港湾・海底・離島…多様な施工フィールド

海洋土木が活躍するフィールドはたくさんあります。港湾エリアから海底、そして遠隔の離島に至るまで、様々な場所で私たちの暮らしを支える重要なインフラが構築されています。

主な施工場所と工事内容の例を以下にご紹介いたします。

施工フィールド 工事内容の例 役割・目的
港湾施設 防波堤、岸壁、泊地、航路の浚渫、橋梁基礎工事 船舶の安全な航行と停泊、物流の効率化、地域経済の活性化
海底・水中 海底トンネル、海底ケーブル敷設、浚渫工事 交通網の整備、通信網の確保、水深の維持
沿岸部 護岸、人工島の造成、埋立工事 海岸線の保護、波や高潮による浸食防止、新たな土地の創出
洋上・離島 洋上風力発電施設、海洋資源開発施設、離島インフラ整備 再生可能エネルギーの導入、資源の安定供給、離島住民の生活基盤確保

これらの工事は、日本の国土面積が狭いという特性もあり、古くから埋立などの手法で新たな土地を造成し、都市開発や港湾施設の拡張に貢献してきました。

陸上土木との違いとは?

海洋土木は陸上で行われる土木工事とは異なり、海という特殊な環境下で施工されるため、独自の難しさや専門性を伴います。

主な違いは以下の点が挙げられます。

  • 自然環境の影響:波浪、潮流、風、塩害、海底の地盤状況、さらには海洋生物の活動など、陸上では考慮されない多様な自然要因が常に工事に影響を与えます。特に天候の変化は工事の進捗に大きく影響し、安全確保のため工事の中止を余儀なくされることも少なくありません。
  • 視認性の低さ:水中での作業が多いため、陸上のように目視での確認が難しい場面が多くあります。このため、音響測深機や水中カメラ、3Dデータ化などの最先端技術(ICT)が活用されることもあります。
  • 特殊な重機と技術:陸上土木では見られない、浚渫船や起重機船といった大型の特殊作業船や専門的な重機が必要不可欠です。これらの重機を操作するための高度な技術や知識も求められます。
  • 大規模なプロジェクトと長期化:海洋土木プロジェクトは、港湾の整備や大規模な埋立、海底トンネルの建設など、規模が大きく数年単位に及ぶ長期的なものが多い傾向にあります。

これらの特性から、海洋土木は高度な専門知識と技術が求められる分野であり、日本の経済活動や人々の生活を根底から支える重要な役割を担っています。

海洋土木工事は、広大な海域を舞台に進められるため、陸上土木工事とは異なる特性を持つ重機が数多く活躍しています。ここでは、海の上でその真価を発揮する主要な重機の種類と、それぞれの特徴について詳しくご紹介いたします。

海洋土木で活躍する重機の種類と特徴

台船とクレーン:海上重機の中核

海洋土木工事において、台船は作業プラットフォームとして不可欠な存在です。自航能力を持たないものが多く、タグボートに曳航されて現場まで移動し、その上で様々な重機が作業を行います。

特に、大型のクレーンを搭載した台船は「起重機船」と呼ばれ、海洋土木工事の中核を担う重機として広く知られています。これらのクレーンは、巨大な構造物や資材を吊り上げ、正確な位置に設置するという、陸上では考えられない規模の作業を可能にします。

起重機船は、その吊り上げ能力によって多種多様な工事に対応します。例えば、港湾の防波堤となるケーソンや、橋梁の基礎となる大型ブロックの設置など、非常に重量のある部材を扱う際にその能力を発揮します。また、海底に沈んだ障害物の撤去作業など、水中での精密な作業にも用いられることがあります。

重機の種類 主な特徴 主な役割
台船 自航能力を持たない作業プラットフォーム 重機や資材の運搬・設置作業台
クレーン(起重機船) 台船に搭載された大型クレーン 重量物の吊り上げ、ケーソン・ブロックの設置

バックホウ(油圧ショベル):海底掘削や浚渫で活躍

陸上工事でおなじみのバックホウ(油圧ショベル)も、海洋土木工事において重要な役割を担います。陸上での使用と同様に、アーム先端に取り付けられたバケットを用いて土砂の掘削や積み込み作業を行います。海洋土木においては、主に台船の上に搭載され、そのアームを海底に伸ばして作業を行います。

海底の地盤を掘削する基礎工事や、水深を確保するための浚渫(しゅんせつ)工事において、バックホウは非常に有効です。特に、狭い範囲や複雑な形状の海底を掘り進める必要がある場合にその機動力を発揮します。海底の土砂を掘り起こし、グラブバケットや土運船へと積み込むことで、海底地形の整備や水路の確保に貢献します。

グラブ浚渫機・浚渫船:海底の土砂をすくい取る専門重機

海洋土木工事の中でも、海底の土砂を効率的に除去する「浚渫工事」に特化した重機が、グラブ浚渫機や浚渫船です。

グラブ浚渫機は、大きな二枚貝のような形状のグラブバケットをワイヤーで吊り下げ、海底の土砂を掴み取って引き上げる仕組みです。このグラブ浚渫機を搭載した船が「グラブ浚渫船」と呼ばれます。

浚渫船には、グラブ浚渫船の他にも、ポンプで土砂を吸い上げるポンプ浚渫船や、バケットを連続的に回転させて土砂を掻き上げるバケット浚渫船など、様々な種類があります。しかし、グラブ浚渫船は、硬い土質や大きな石が混じる海底でも比較的安定して作業できるという特徴があります。港湾の水深維持や航路の確保、あるいは埋め立て地の造成のための土砂採取など、幅広い場面でその専門性が活かされています。

それぞれの重機の役割と工事工程での使われ方

海洋土木工事では、様々な重機がそれぞれの専門的な役割を担い、複雑な工程を協力して進めてまいります。ここでは、主要な重機が具体的にどのように活用されているのかを詳しくご紹介いたします。

起重機船とクレーンの役割(ケーソン設置など)

起重機船は、その名の通り大型のクレーンを搭載した作業船であり、海上での重量物運搬や設置作業の中核を担います。 特に、港湾構造物や橋梁、そして防波堤の主要部となるケーソンを設置する際に不可欠な存在です。ケーソンとは、鉄筋コンクリート製の巨大な箱状構造物で、事前に製作されたものが現場まで曳航されてきます。

起重機船は、この巨大なケーソンを正確な位置に吊り上げ、海底に設けられた基礎捨石の上に据え付ける役割を果たします。 据え付けの際には、ウインチなどの装置を用いて、わずかなズレも許されない精密な位置調整が行われます。 また、ケーソン内部に海水を注入することで、その姿勢を制御しながら着底させる技術も活用されており、ICT技術を導入した自動制御システムも登場しています。

ケーソン設置以外にも、起重機船は沈船の引き揚げ、魚礁の設置、海底パイプラインの敷設など、多岐にわたる海上工事で活躍しています。 その吊り上げ能力は最大で7,000トン級にも及び、現代の大型海洋構造物の建設を支える重要な重機です。

浚渫工事におけるバックホウの活用

バックホウ(油圧ショベル)は、陸上工事と同様に海洋土木においても掘削作業に欠かせない重機です。 海洋土木では、このバックホウを台船に搭載した「バックホウ浚渫船」として活躍します。 バックホウは、掘削深度や作業半径を最大限に確保できるよう、台船の船首端の低い位置に据え付けられていることが特徴です。

主な役割は、港湾や航路の維持、あるいは水深を深くするための浚渫工事です。 海底の土砂や堆積物を効率的に掘削し、土運船へ積み込む作業を行います。 硬い地盤や発破砕岩の掘削にも対応できる強力な掘削力を持ち、海底の仕上げ精度を高く保つことが可能です。

また、近年では陸上バックホウを水中環境で稼働できるよう改造した「水中バックホウ」も登場しています。 これはディーゼルエンジンの代わりに水中モーターを動力源とし、水深50mまでの作業に対応可能です。 水中バックホウは、港湾工事の水中均し作業や海底ケーブルのトレンチ掘削、小規模な浚渫、水中構造物の破砕など、より専門的な水中作業でその能力を発揮します。

海底整地・防波堤構築での機械連携プレイ

海洋土木工事、特に防波堤の構築においては、複数の重機が密接に連携し、一つのプロジェクトを完成させます。海底整地から防波堤の完成に至るまで、各重機が最適なタイミングで投入され、その能力を最大限に引き出すことが重要です。

海底整地のプロセスと重機の役割

防波堤の基礎となる海底整地では、まずガット船(グラブ付き自航運搬船)が石材を運搬し、所定の位置に投入します。 その後、投入された石材の不陸(凹凸)を平らにする作業が行われます。かつては潜水士が人力で行うことが多かったこの作業も、現在では水中バックホウやジャイアントタンパーといった機械が導入され、効率的かつ高精度な施工が可能になっています。 これらの重機は、潜水深度管理システムと連携しながら、海底を均一に整える重要な役割を担います。

まとめ|海洋土木工事の現場で重機オペレーターとして働くには?

今回は、海洋土木工事で活躍する重機の特徴や役割を紹介しました。最後に、東日本海洋建設のような現場で重機オペレーターとして働くために必要な基本条件を簡潔にまとめます。

必要な資格・免許

海洋土木の現場では、安全に作業を行うための資格が必須です。

  • クレーン・デリック運転士免許(※床上運転式やクレーン限定など)
    → 吊り上げ荷重5トン以上のクレーンの運転に必要
  • 車両系建設機械運転技能講習(整地・運搬・掘削)
    → バックホウ(油圧ショベル)などの操作に必要
  • 小型移動式クレーン運転技能講習/移動式クレーン運転士免許
    → 海上での資材運搬・設置作業で必須
  • 玉掛け技能講習
    → 荷の吊り上げ作業に使用

どれも安全と効率性を高めるために欠かせない基礎資格です。

未経験者でも目指せる理由

「資格が必要なら難しそう…」と思う方も多いですが、心配はいりません。

東日本海洋建設を含む多くの企業では、
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  • OJTで基礎操作を先輩から直接学べる
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こうした環境があるため、未経験でも着実に技術を身につけ、海洋インフラを支える重機オペレーターへ成長できます。

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