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People 社員コラム 海洋建設の工法・技術

海底トンネルの作り方を紹介!水抜きの技術についても解説

海の下を通り、陸と陸とを結ぶ「海底トンネル」はどのように作られているのか、なぜ浸水しないのか…と、疑問に思ったことはありませんか。今回は、海洋工事で作られる「海底トンネル」の作り方を紹介します。

海底トンネルの作り方とは?

海底トンネルの建設は、技術的にも物理的にも壮大な挑戦です。主に、沈埋工法、シールド工法の2種類の方法が用いられます。この工法は、異なる地質や環境条件に適応するために開発されました。ここではそれぞれの解説をしていきます。

沈埋工法

沈埋工法は、海底に溝を掘り、あらかじめ作っておいた四角いトンネルを沈めて接続する方法です。大規模なトンネルプロジェクトや、水深の深い場所で用いられる方法です。沈埋工法のメリットは、工期の短縮やコスト削減です。また、地震などの自然災害に対する耐性も高いという特徴があります。

シールド工法

シールド工法は、円筒状のシールドマシンという機械を使用して、平地や水の底を掘り海底トンネルの壁を形成します。複雑な地質や深い水深での建設に適しています。シールドマシンは、異なる地質や水圧の条件に合わせてカスタマイズされ、最新の技術を取り入れています。精密な制御システムや自動化技術を備え、効率的かつ安全な掘削を可能にしています。

これらの工法は、それぞれの特徴を活かして、その土地や地形の条件に合わせて選択されます。技術の進歩により、これらの方法はさらに洗練され、安全で効率的な海底トンネル建設を実現しています。

海洋トンネルの安全性を守る水抜きの技術とは?

海底トンネルは地層や水脈を横切って作られるので、湧き出てくる水を排出する必要があります。その排水のためのシステムがトンネルの構造の安全性を保つのに役立ちます。山岳トンネルと異なり、水底トンネルでは湧水の処理が特に重要です。水の通り道が詰まると自然に水の流入が止まることもありますが、逆に水の流入に伴って通り道が拡大されると、水の流入量がポンプの能力を上回り、工事の継続が困難になることもあります。

特に注目すべきは、関門海峡トンネルや青函トンネルで使用されたヨコタ社製の排水ポンプです。これらのトンネルでは、車が通るメインのトンネルとは別に、水抜き用のトンネルとポンプ室が作られており、ポンプは地上に水を一気に送り出します。

排水ポンプは、多くの厳しい条件を満たす必要があります。ヨコタ社製の排水ポンプは、空気の混入があっても吸上げ運転に支障をきたさないことや水圧により起こる衝撃音が発生するのを防ぐように対策されていること、耐久性があり無人自動運転ができること、保守点検がやりやすいこと、特に海水を扱う場合には腐食しにくいといった特長があります。

排水ポンプは、海底トンネル建設における重要な技術的要素であり、トンネルの安全性と機能性の両方を確保するために不可欠です​。

世界で一番長い海底道路トンネルとは?

東京湾アクアラインは、海底トンネルと海上橋の組み合わせにより、神奈川県川崎市と千葉県木更津市を繋ぎ、東京湾を横断する壮大な構造物で、世界一長い海底トンネルです。それは世界に誇れる日本の技術のひとつです。その構造を説明します。

東京湾アクアライン全体の構造

東京湾アクアラインのその全長約15.1kmのうち、海底トンネル部分だけで約9.5kmに及びます。この海底トンネルは、世界でも際立って長い海底道路トンネルのひとつとして知られています。海面下約60mに位置し、軟弱地盤と高水圧の困難な条件の中で建設されました。

海上橋(アクアブリッジ)は、全長約4.4kmの橋で、木更津取付部から人工島「海ほたる」までを結びます。海ほたる付近は航路になっており、大型船舶が航行可能な設計となっています。

人工島「海ほたる」は、トンネルと橋の接続点に位置する休憩施設を備えた人工島です。ここからは東京湾の美しい景色を一望できます。

東京アクアラインのトンネル建設の特徴

東京湾アクアラインの海底トンネル建設には、世界最大級のシールドマシンが使用されました。この機械技術は革新的でした。海底の複雑な地盤や高水圧といった厳しい自然条件の中でも、高い精度での掘削が可能となったからです。

トンネル建設において最も難易度が高いとされる海底部分の工事は、このシールドマシンの掘進技術によって大幅に効率化されました。さらに、トンネル内の安全性と通気性を確保するため、風の塔には高度な換気システムが設置され、トンネル内の空気の質を常に良好に保つ工夫が施されています。

このようにして、アクアラインのトンネルは、その構造と機能性の両面で優れた安全性を誇っています。

アクアラインイベントにより広まる土木工事の知識普及

東京湾アクアラインで開催される海底トンネルの探索イベントは、一般市民にとって貴重な体験の機会を提供しています。特に「海底トンネルに潜入!東京湾アクアライン裏側探検」イベントでは、普段は見ることができない海底トンネルの内部を間近で体験できます。参加者は、トンネル建設の歴史や構造、運用に関する知識を深めることができ、土木工学や建設技術への関心を高めるきっかけとなっています。

また、このようなイベントは、アクアラインの技術的な偉業と美しい景観を広く公開することで、観光資源としての価値を高め、地域経済への貢献も期待されています。この取り組みは、土木工事の知識普及と観光振興の両面で重要な意味を持っています。

まとめ

海底トンネルの建設は、現代土木工学の傑作と言えます。世界で最も長い海底道路トンネルのひとつである「東京湾アクアライン」の建設には、最新の技術を用いた世界最大級のシールドマシンが用いられました。

海底トンネルの建設技術は、私たちの生活と経済活動を支える重要なインフラとなっており、海の下でも安全で快適な移動を実現しています。先進的な技術の進化により、これまで不可能とされた地形でもトンネルの建設が可能になり、人々の生活範囲の拡大と効率的な交通ネットワークの構築に貢献しています。

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