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People 社員コラム 海洋建設の工法・技術

鋼管杭とは?海洋構造物を支える仕組みと防食工事の重要性

鋼管杭とは、港や橋などの巨大構造物を海底から支える鋼製の杭です。
海洋構造物では欠かせない基礎部材ですが、海水による腐食対策が重要になります。

この記事では、

  • 鋼管杭の仕組み
  • 海洋構造物で使われる理由
  • 海で起こる腐食の問題
  • 鋼管杭を守る防食工事
  • 東日本海洋建設が行う被覆防食工事

について、海洋土木の視点からわかりやすく解説します。

なぜ鋼管杭が必要なのか?見えない基礎の役割

鋼管杭は、港・橋・護岸などの構造物を地盤の深部でしっかり支えるための「見えない土台」です。

海や河川に建設される構造物は、水上に見える部分だけで成り立っているわけではありません。
水底の地盤は軟弱な泥や砂で構成されていることが多く、そのままでは重い構造物を支えられません。
そこで活躍するのが鋼管杭(こうかんくい)です。

地盤を支える仕組みとは

地盤を支える仕組み

鋼管杭は、鋼製の筒(パイプ)を地中深くに打ち込み、構造物の荷重を安定した硬い地盤(支持層)まで伝える部材です。

支え方には大きく2種類あります。

  • 先端支持杭:杭の先端を硬い地盤(岩盤や砂礫層)まで到達させ、先端で荷重を受ける方式。港湾施設など重量物を支える場面で多く使われます。
  • 摩擦杭:杭の側面と地盤の摩擦力で荷重を支える方式。支持層が非常に深い場合や、支持層への到達が困難な場合に採用されます。

どちらの方式も、構造物が傾いたり沈下したりしないよう、地盤の力を最大限に活用する設計思想に基づいています。

使われる場面(港・橋・護岸)

鋼管杭は、以下のような幅広い海洋・土木構造物に用いられています。

  • 港湾施設:岸壁・桟橋・係船柱など、船舶が接岸する施設の基礎として多用されます。大きな水平力(波・船の衝突)にも耐えられる剛性が求められます。
  • 橋梁の基礎:河川や海峡を渡る橋の橋脚基礎として使用されます。水中施工が必要なため、鋼管の施工性の高さが選ばれる理由のひとつです。
  • 護岸・防潮堤:海岸線を守る護岸や津波対策の防潮堤でも、地盤への固定と水平抵抗力を確保するために鋼管杭が活用されます。

実はこんなに違う|鋼管杭の種類と他の杭との違い

鋼管杭にはいくつかの種類があり、現場の条件や目的に応じて使い分けられます。

開端・閉端の違い

開端杭と閉端杭の違い

開端杭と閉端杭は、先端構造の違いによって支持力や適した地盤条件が異なります。

種類 特徴 主な用途
開端杭 先端が開口している。打設中に土が内部に入り込む。掘り出される土が少なく騒音も抑えられる場合がある 砂質地盤・砂礫地盤
閉端杭 先端にプレートを溶接して密閉。先端抵抗が大きく、先端支持力を確実に発揮できる 硬質地盤・岩盤

開端杭は施工コストを抑えやすい反面、内部に入り込んだ土(プラグ)の管理が重要です。
閉端杭は先端支持力が明確で設計しやすいメリットがあります。

コンクリート杭・鋼管矢板との比較

鋼管杭は「衝撃に強く施工しやすい基礎杭」
鋼管矢板は「土圧・水圧を支える壁構造」として使われ、海洋工事では用途に応じて使い分けられています。

コンクリート杭(PHC杭など)との比較

コンクリート杭との比較

海洋工事では、施工性や耐久性の面から鋼管杭が選ばれるケースが多くあります。

  • 靭性(ねばり強さ):鋼管杭は衝撃に強く、割れにくいため、地震や船舶衝突にも対応しやすい
  • 加工性:現場での溶接継手が容易。長さの調整や特殊な形状への対応がしやすい
  • 重量:コンクリート杭より軽量なため、海上からの施工機械への負荷が小さい

鋼管矢板(こうかんやいた)との比較

鋼管矢板との比較

鋼管矢板は鋼管杭の側面に継手(ジョイント)を付けて複数を連結し、壁状にした部材です。

鋼管矢板
  • 鋼管杭:単独の杭として荷重を鉛直方向に伝える役割が主体
  • 鋼管矢板:連続壁として土圧・水圧を受ける「土留め壁」として機能

岸壁や護岸の壁体部分には鋼管矢板、基礎杭には鋼管杭、と組み合わせて使われることもあります。

鋼管杭のメリット・デメリット

鋼管杭は海洋構造物に適した多くの強みを持つ一方で、注意すべき弱点もあります。

メリット

  • 高い強度と粘り強さ
    鋼材は靭性に優れており、地震や波浪、船舶衝突など大きな外力にも耐えやすい特徴があります。
  • 海上施工に適している
    鋼管杭は比較的軽量で、海上クレーンや台船による施工との相性が良く、大規模港湾工事でも広く採用されています。
  • 加工・継手がしやすい
    現場で溶接による継手施工ができるため、杭長の調整や特殊形状への対応がしやすい点もメリットです。
  • 地震時の変形性能が高い
    コンクリート杭と比較して割れにくく、地震時の変形エネルギーを吸収しやすい特性があります。

デメリット

  • 腐食しやすい
    海水中では塩分の影響を受けやすく、防食対策を行わないと腐食が進行します。
  • 維持管理コストが必要
    塗装・被覆防食・電気防食・定期点検など、長寿命化のための維持管理費用が発生します。
  • 工法によっては騒音・振動が発生する
    打撃工法では大きな騒音や振動が発生するため、周辺環境への配慮が必要です。

現場条件や構造物の用途に応じて、メリット・デメリットを理解した上で採用されます。

海の中で劣化する?鋼管杭の弱点と対策

鋼管杭の最大の弱点は「腐食(さび)」です。適切な防食措置と定期点検が構造物の長寿命化に直結します。

腐食が起きる原因

鋼管杭の腐食

海洋環境における腐食は、陸上と比べて格段に進行が速くなります。

海洋環境における腐食
  • 飛沫帯(ひまつたい)・干満帯が最も危険:海面付近は波しぶきが繰り返し当たり、乾燥と湿潤が交互に繰り返される環境です。この「飛沫帯」は酸素供給が豊富で腐食が最も激しく進行するゾーンとして知られています。
  • 塩化物イオンの影響:海水中には塩化物イオンが豊富に含まれており、鋼材の表面を劣化させ、腐食を促進します。
  • 微生物腐食:海底の微生物が鋼材表面に付着し、局所的な腐食を引き起こすことがあります。
  • 電食(でんしょく):金属同士が接触することで、一方だけサビやすくなる現象。設計段階での絶縁対策が重要です。

防食・点検の方法

海洋構造物は、波や潮流、塩害など過酷な環境に常にさらされているため、防食対策と定期点検が欠かせません。

特に鋼管杭や港湾施設では、腐食を放置すると強度低下につながるため、長寿命化のための維持管理が重要になります。

主な防食方法には、

  • 重防食塗装(新設時に採用される工法)
  • 電気防食(カソード防食)
  • 被覆防食

などがあります。

中でも被覆防食工事は、腐食しやすい飛沫帯や干満帯に、防食材を取り付け鋼材を保護する工法です。海水や酸素との接触を防ぐことで、腐食の進行を抑えます。
また、構造物の安全性を維持するためには定期点検も重要です。
潜水士による水中調査や超音波測定などを行い、腐食や損傷の有無を確認しながら、海洋インフラの長寿命化を支えています。

電気防食について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧下さい。
電気防食工事とは?防食対策の仕組みと原理

東日本海洋建設が行う被覆防食工事

東日本海洋建設では、港湾・海洋構造物に対する被覆防食工事を行っています。

実際の施工では、潜水士や技術者が連携しながら、水中や海上で防食施工や点検作業を進めます。
海洋構造物は常に厳しい環境にさらされているため、防食工事はインフラを守るうえで非常に重要な役割を担っています。

防食工事全般について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
防食工事とは?種類と東日本海洋建設の施工事例を紹介

海洋土木工事の現場積層による被覆防食工事とは?特徴と実際の施工事例

海洋構造物を支える多くの専門職

港湾・海洋構造物の防食工事や維持管理の現場では、さまざまな専門職が連携しながら施工を行っています。

  • 施工管理者
    工事全体の安全・品質・工程を管理
  • 重機オペレーター
    クレーンなどを操作して正確な施工を支える
  • 潜水士
    水中での点検や防食作業を担当
  • 溶接技術者
    構造物の強度を左右する重要な溶接を行う
  • 測量技術者
    GPSや測量機器を用いて施工精度を確認する
  • 防食技術者
    海水による腐食から構造物を守る

海洋工事は、波や潮流など自然条件の影響を受けるため、高い技術力とチームワークが欠かせません。
自分たちが携わった構造物が、港や街を長年支え続けることは、海洋建設ならではの大きなやりがいです。

まとめ|鋼管杭と防食工事は海のインフラを支えている

桟橋工事や海洋構造物の維持管理は、港や物流を支える重要な仕事です。

特に防食工事や潜水調査、構造物補修には高い専門技術が求められ、海洋インフラの安全を支える大きなやりがいがあります。

東日本海洋建設では、未経験からでも資格取得を目指しながら、海洋土木の専門技術を身につけられる環境を整えています。
海の現場で、人々の暮らしを支える仕事に挑戦したい方は、ぜひ求人情報をご覧ください。

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