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Expertise 技術・工法 / 防食工事

防食工事の役割と種類

現代の日本の都市部の構造物はその大半がコンクリートと金属で造られています。一見堅牢に思える鋼製やコンクリート製の構造物も、水や塩などの化学物質による腐食・劣化は避けられない自然の摂理です。そのような腐食・劣化から、コンクリートや金属を守るために行われるのが防食工事です。水と常に接する港湾の構造物や埋設配管などの防食には、施工箇所の特性に合わせて電気防食もしくは被覆防食のいずれかの工法が用いられています。

01電気防食法

主として、海洋や水中、土壌中といった環境下にある対象物の防食処理に用いられる工法。このような環境は、そもそも耐久性の面で過酷な状況にある上、メッキや塗装などの一般的な防食加工が困難なケースが多く、そうした場合に有効な手段となっています。

原理としては、対象となる金属に電流を流し、その金属を腐食しない防食電位に変化させることで電子のイオン化と金属の腐食を防止するというもので、方式は2種類あります。1つは、対象物となる金属を亜鉛、アルミニウム、マグネシウムなどの金属に接続する「流電陽極方式」、もう1つは、対象となる金属に直接電流を送って電位を操作する「外部電源方式」です。

現在主流となっているのは流電陽極方式ですが、この方式では陽極材を水中溶接で取り付ける作業が必要で、水中溶接の技術力が鍵となります。水深10m以上の深い場所での施工も多く、潜水士の減圧症(潜水病)の管理や送気する空気の管理も重要になってきます。

当社では、事前に作成した潜水施工計画書を潜水士や作業員に周知することはもちろん、潜水士によるダイブコンピュータの携帯や潜水作業記録に基づく減圧管理など、安全への配慮を徹底しながら施工を行っています。

電気防食法 電気防食法

02被覆防食法

対象物を樹脂などの被膜で覆って水や酸素などの腐食因子を物理的に遮断する工法で、主に潮の干満などで空気中に出たり水に浸かったりする箇所(例:鋼管杭、連続鋼矢板、連続鋼管矢板、桟橋橋脚設備など)に用いられます。ペトロラタム系樹脂を用いるペトロラタム被覆工法や、エポキシ樹脂系被覆材を鋼材表面に被覆する水中硬化形ライニング工法、型枠コンクリートライニング工法など、環境や材質などに応じていくつかの工法があり、当社においても最適な方法をご提案するように努めています。

被覆防食工事は水深の浅い場所での作業となるため、悪天候による波浪や船舶による航跡波が作業に大きな影響を与えます。当社では、インターネットによる気象情報の収集や、早めの作業中止判断、警戒船から他の船舶の速度減速を促すなど、安全対策を徹底しながら作業を行っています。

被覆防食法

施工事例

川崎人工島 風の塔(東京湾アクアラン換気設備)(2015年)

電気防食法

最大水深が20m以上ある上、ジャングルジムのように鋼管が張り巡らされた中での潜水作業でした。そのため、事前に図面で水中の状態を確認するなど、しっかりと準備・打ち合せを行った上で施工に臨みました。「事故を絶対に起こさない」をスローガンに、潜水士が減圧症にならないよう、送気員・連絡員が安全管理を徹底しながら工事を完遂させました。

福井火力発電所F岸壁

被覆防食法

全長1.4kmに及ぶ被覆防食工事で、工事開始から完了まで1年1カ月を要しました。事前調査から被覆防食、海底土砂浚渫、鋼矢板腐食穴の補修鋼板溶接など、当初予定していなかった工程も含め、さまざまな作業が必要となりましたが、都度現場で打合せを行い、ひとつひとつ課題をクリアしながら工事を完遂させました。

川崎人工島 風の塔(東京湾アクアラン換気設備)
福井火力発電所F岸壁

当社の施工体制と機材※2022年7月現在

技能者

潜水士

30名※

1級港湾潜水士

6名

2級港湾潜水士

7名

送気調節係員

30名

※2022年7月現在

JIS溶接技能者

7名

アーク溶接技能者

23名

1級土木施工管理技士

5名

2級土木施工管理技士

5名

※協力会社含む

保有機材

水中で使用できるエアーや油圧で動作する機材

インパクト・チゼル・ハンマードリル・グラインダー・コアドリル

水中で使用できるコードレスの電気機材

肉厚測定器・水中カメラ・水中ビデオ(QI)・水中ライト